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ストレスの3つの顔
- 2020/01/27
我が国で特に多いのは、胃潰瘍と心臓病(心不全、心筋梗塞)であります(欧米人では、胃潰瘍よりも大腸潰瘍が多いです)。
動物について、胃腸のレントゲン像を見ながら、怒らせてみますと、急に胃や腸の動きが激しくなって、けいれんを起こすことが分かります。
「はらわたが煮えくり返る」とか、「断腸の思い」などという言葉があることが、よくわかるのです。
この胃腸の働きは、精神的緊張でなくとも、食物によっても、また、暑さ、寒さ、心身の疲労によっても影響を受けます。
このことは、心臓についても、同じことが言えます。
感情が高ぶりますと、胸が苦しくなり、心臓がドキドキします。
ストレスの発見者、セリエ博士の実験によりますと、精神的な緊張でも、肉体的な労働でも、あるいは環境的な暑さ寒さでも、全てはストレス刺激として作用し、
①胃の充血や潰瘍、心臓の充血・うっ血
②リンパ腺、胸腺の委縮
③副腎皮質の肥大
という3つの変化が、顕著に見られます。
これをセリエ博士は、「ストレスの3つの顔」と呼んでいます。
このうちで、最もしばしば現れるのは、胃の変化、ついで心臓の変化です。
アメリカの調査では、現代人の胃病の80~85%は、このストレスによるものです。
ストレスは、精神的ストレス(心労)と肉体的ストレスとに分けられますが、精神的ストレスは、大脳中の間脳から下垂体を経て副腎へ行く刺激(肉体的ストレス)の他に、間脳から迷走神経を介しての刺激との挟み撃ちを加えることになるので、作用は強いわけです。
つまり、ストレスによるホルモンの変化の上に、さらに神経からの刺激が加わるので、影響が大きいわけです。
我が国は胃病が多く、胃炎、胃潰瘍、そして胃がんは世界一です。
正に胃病王国です。
20年前を見ますと、生活習慣病のうち60%は胃病でした。
近頃では、欧米型の生活習慣病‥心臓血管病を主とするものに移ってきていますが、依然としてい病の国です。
これは、人種、民族による違いもあるでしょうが、生活、特に食生活によるストレスによるものとみなされます。