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坐禅による「セルフ・コントロール」で心の健康を作るのも一つの方法
- 2020/02/06
人間の大脳には、知性や意識、理性を司る「新皮質」と、肉体的な感性、衝動を司る「古皮質」との二つの「脳」があります。
この二つの間の機能的な連結がしっかりしていれば、知・情・意の円満な働きができ、心の健康は保たれるわけです。
しかし、ともすれば、この新古、二つの脳の連絡が途絶えがちになります。
こうなりますと、知性や意思の手綱を放れた激情は、「近道反応(短絡)」を起こして、「顔色一つ変えないで人を殺す」(この頃毎日のように新聞に報じられています)ということにもなります(これを「失感情症」と呼びます)。
また、内へ向かいますと、神経、ホルモンの働き合いを乱して、胃潰瘍や心臓病、高血圧や糖尿病などを起こすことにもなります(これを「自律神経失調症」と呼びます)。
ノイローゼやうつ病、心身症の治療では、外部からの、身体から健康法や治療法、あるいは心からの治療法を、いわゆる医学的に取り扱っただけでは、どうにもならないこともあります。
最近、精神生理学の進歩に伴って、脳の働きの円満な活動を取り戻すには、全人間性の回復を通じて、心の健全を促すのが効果的であることが分かってきました。
そこで、東洋的な行法(坐禅、ヨガ、瞑想など)によるセルフ・コントロール(自律訓練)が、世界的に流行し始めています。
坐禅から生み出された我が国の茶道、華道、武道、芸道なども、体得による身体の動かし方、呼吸の仕方、心の持ち方(坐禅は、「調身、調息、調心」を目指します)を通じて、人間の本来性に則った「脳の働き」の調整を目指すものであると考えられます。