- トップページ
- >
- 「食習慣」は栄養学では割り切れない意味を持つ
「食習慣」は栄養学では割り切れない意味を持つ
- 2020/02/18
食物に対する「好き嫌い」も、食物に含まれている化学的物質に対する適応です。
食物の嗜好が、主として日本人のように穀物や野菜、魚肉を食べている人種と、西欧人の様に主として獣肉、アルコールをたしなむ人種とではかなり違うことも知られているところですが、これは幼い時の食習慣(生まれてから3,4歳まで)に大いに関係があると言います。
好き嫌いは癖によっても起こるのですが、大きく見ますと、民族・人種によって違うもので、西欧人は沢庵や味噌には閉口しますが、日本人はあの「くさいチーズ」には嘔吐をもよおすでしょう。
「各人は各種の趣味を持ちます」と言いますが、「味わい」の違いと言うものは、ただ、「心理的」なものだけでなく、人種・民族的な習慣や育てられた習慣によって、それに適応したための「生理的」な条件が老いに関係することも考えておかなければなりません。
このように食物の嗜好は、いわば長い民族的習慣による適応の結果でありますから、日本人が、本来の食習慣をやめて、西欧的な食生活をそのまま真似れば、、適応を乱し、生命力を低下させることになります。
これらのことは、「カロリーとか、タンパク、脂肪、ビタミン、ミネラル」といった抽象的・共通的な「栄養学」では、全く取り上げられません。
我々の食物と言うものは、ご飯・野菜・肉・魚‥といった具体的な「食品」を色々調理して、硬さ、柔らかさ、味付けなどによって食べられるようにし、それをさらに色々組み合わせ(献立)て朝食、昼食、夕食として、量的にも質的にも適当に配分されるのです。
食欲や好き嫌いは、その人の健康状態を如実に示し、適応・不適応の重大な尺度ともなりますから、各民族の食習慣を、栄養学の基準でのみ解釈してはならないわけです。