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「楽な生活」は人間の適応能力を低下させる②
- 2020/02/27
科学文明は、色々な面で我々の適応力を働かすことなく、環境そのものを変容させて、快適な状態を作り出してきました。
文明の機器は、自然の適応力手段を待たず一層快適で、安易な環境を実現しました。
そして、現代人の多く(都会生活者)は、日常生活の外的条件を、ほとんど一定不変のものにしてしまいました。
その結果、今や筋肉の働きも苦労から解き放たれ、食物も咀嚼の必要がほとんどなくなり、睡眠も良い状態で、安心して快眠できるようになりました。
また、薄い粗末な服を着て、激しい筋肉活動をする労働者は、そのあらゆる器官を強力に働かせて体温を維持するのでありますが、今日の多くの人々は、コートや毛皮、あるいは防寒服を着こんだりセントラル・ヒーティングのある屋内、暖房のある車中に閉じこもったりして寒さを避けるので、これらの器官や系統をほとんど働かせることがないのです。
あるいは、炎天下や、寒風や冷雨、吹雪にさらされて、苦しい仕事を続ける必要もなくなりました。
こういう人たちの場合は、体温や体液を温度に対して調節させていく機構は、いつも眠っているのです。
つまり、外界の温度に適応する機能は、使われることなく、まして習練されることもなく放置されているわけです。
生体物の器官はすべて使わなければ萎縮し、機能は衰えてしまいます(不活動性萎縮)。
また、適度に使う時は発達し、その働きも増強されるのです(最も、使い過ぎますと破壊されるのですが、とにかく使わなければ弱ってしまいます)。
この続きは、次回に掲載します。