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適応力こそ「快適な生活」への最大の近道
- 2020/03/10
我々が、変化に満ちた環境をシャットアウトして、波風の立たない、温和な人工的環境に閉じこもることは、果たして健康と長寿への道なのでしょうか。
何の不安もなく、従って何の努力もいらない極楽やパラダイスにのんびり住んでいれば、いつまでも元気で若々しくいられるようにできているのでしょうか。
そうでないことは、既に述べたところからも察せられるでしょう。
快適な生活をするのは、そのこと自体望ましいに相違ありません。
ですが、いつも快適な状態にあることが、本当の快適への道ではないのです。
適応力が弱まり、健康が乱され、病気になると不快を感じ、不安です。
病気ということは、「不快・不安」であります。
病気のことを「違和」と言うのも、同じ意味を持つています。
人間も、他の動物と同様に、風雨・寒暑にさらされ、あるいは時には眠らずにいたり、その代わりにうんと眠ったり、または十分に食べることもあれば、食べたりないときもあります、ということがあってこそ、また、衣食住を自分の努力によって得るようにしてこそ、初めて最高の発達に到達できるのです。
また、人間は筋肉を使って働き、疲れもし、休みもし、戦いつ、苦しみつしながらも、時としては幸福に酔い、愛憎したり、意欲を湧かせたり、意気消沈したり、あるいは、他人と争ったり、自分と戦ったりすることも、案外必要なのです。
人間が最も強くなるのは、このようにして、適応力を発揮するような状況に自らを置くことです。
この適応力を運用し発揮することを、子供のころから適切に訓練することが必要です。
ある程度の困苦欠乏に耐えていくことが、その人の心も身体も強くすることは、経験的によく知られているところですが、これこそ心身の適応力を高める道だからです。
「神経系の回路形成」や「ストレス」の学説から考えても、科学的に裏付けられるのです。