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呼吸器系下部気道の感染防御の働き(その1)
- 2020/05/28
もっと奥の方の気管支(下部気道)では、上皮の表面に密生した線毛が下部から上部に向かう方向に一斉にそよいでいますし、上皮の下には粘液腺が分泌液を出しています。
上部気道の防御機構を逃れて、下部気道に落ち込んだ異物は、この分泌液にくるまれ、繊毛運動で上へ上へと押し戻され、咳と共に痰と一緒に外へ出されてしまいます。
このような下部気道に備わった防御機構は、粘液・線毛輸送系と呼ばれています。
この他にも、血液あるいは気道局所由来の感染に対抗する因子が、気道・肺胞を感染から守っています。
さらに肺胞には、マクロファージと言う細胞がいて、肺胞に到達した細菌などを、細胞内に取り込んで溶かしてしまう作用を示します。
さらに、肺を含めた、全身的な免疫(体液性免疫および細胞性免疫)の働きで、肺を守っています。
このように、二重・三重の仕組みで肺は守られているのですが、いつもこの仕組みがすべてうまく働くわけにはいかず、時にこの防御機構をかいくぐってきた病原微生物による呼吸器系感染が起こります。