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細菌感染による風邪、二次感染を起こした時
- 2020/06/13
抗生物質や抗菌薬は、風邪の原因となったウイルスには効きません。
従って、風邪が風邪に留まっている限りは、これらの薬を使う必要は全くありません。
ところが、私達の口の中や喉には、病原性のある色々の細菌が住み着いています。
普段は、これらの細菌が悪さをすることはありません。
これは口の中や喉の粘膜細胞の働きで、これらの菌が奥深く入り込むのを防いでいるからなのです。
ところが、ウイルスの感染によって風邪に罹りますと、これらの粘膜細胞は変性し、剥がれ落ちてしまい、組織がむき出しになってしまいます。
そうしますと、この障害された部分から、それまでじっとしていた細菌が組織の中に入り込み増殖を始めます。
こういう状態を細菌による二次感染(あるいは混合感染)が起きたと言います。
細菌による二次感染が起きますと、炎症症状が激しくなり、色のついた汚い痰がでます。
血液検査をしますと、赤沈値が増え、白血球の数も増えて、中でも好中球と呼ばれるものの割合が増します。
また、CRPと呼ばれる物質も高い値を示すような状態になりましたら要注意で、抗生物質あるいは抗菌薬による治療(これを化学療法と言います)を始めなければなりません。
風邪を引いた時に化学療法をいつ始めるべきかは難しい問題です。
風邪をひいて3~4日過ぎても治らない時には、予め抗生物質や抗菌薬を用いるべきだとする意見もあります。
一方、細菌二次感染を思わせる症状が出そろい、さらにこれを示唆する検査所見が得られてから開始すべきだとの考え方もあります。
いずれを取るかは、患者さんの体力などを参考にして決めるべきでしょう。
赤ちゃんやお年寄り、あるいは青壮年層の人でも、他に何か病気を持っているような時には、風邪が長引く気配を見せたら、早い時期に抗生物質や抗菌薬による治療を始める方が良いでしょう。