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身体化徴候とはどのようなものですか?
- 2020/07/22
<頭痛・めまい・耳鳴り・動悸・胃腸の不調を典型とした「自律神経失調症」のことです>
ストレスに伴う自律神経失調症様の機能的な症状であり、専門科で器質的な原因が明らかにされない「頭痛」「めまい・耳鳴り」「息苦しさ・動悸」「下痢・便秘・吐き気を含む胃腸の不調」といった臓器系の症状に加え、「肩凝り」「手足のしびれや筋肉の痛み」、そして「腰痛・背中の張り」といった運動器系の症状も含みます。
これらは、心理的ストレスが脳機能に影響を与えることによって起こってくる症状であり、「緊張性頭痛」「ストレス性のめまい」「心臓神経症」「機能性ディスペプシア」「過敏性腸症候群」といったものと同時に、腰痛にも心理的ストレスによる脳の機能障害を介し、筋緊張や局所の動脈でのスパズムが強まって起こるダイブがあるという認識が必要であると考えています。また、身体的徴候がさらにストレスとなって痛みを抑制できなくなり、全身的な体調不良や痛みを引き起こすという悪循環に陥ることもあるでしょう。心理社会的要因の強い腰痛の患者さんでは、様々な身体化徴候を併せ持つケースが多くなります。
反応性のうつ状態や睡眠障害も、心理的ストレスが引き金となることは言うまでもなく、脳の機能障害が原因となる身体化徴候としての腰痛の患者さんは、必然的に抑うつ的な人も多くなります。なお、上記に示しました徴候の多くは、更年期障害(エストロゲンの低下)や低血圧という女性に多い機能障害が原因で現れる場合があることも知っておくと良いでしょう。
患者さんに自分を振り返って日記をつけてもらと次のことがよくわかります。例えば、「満員電車で腰が痛くなった」「両親とのいざこざがあった後、腰が痛くなった」という具合に、ストレスに連動して腰痛が起こっている様子が垣間見えます。また、腰痛だけでなく、耳鳴りや吐き気、下痢などの身体化徴候も顕著です。この方は、腰痛を理由に長期休職中だったのですが、抑うつのスコアも高得点でした。こうした患者さんは、痛みの主因が腰(局所)にあるわけではありませんので、整形外科で一般的に行なわれる治療が奏功しやすいはずはなく、認知行動療法や環境調整といった心理社会面にアプローチする治療が必要になってきます。当院に来るお客さまの中にも、この症例と似たケースで来院する方が多くいらっしゃいます。ですから、医療面接(問診)等お客さまとの会話が絶対条件なのです。