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安静が良くないのは「ぎっくり腰」についても同じでしょうか?
- 2020/07/31
<「安静にする意識が強い」と再発しやすいというデータがあります>
急性~亜急性腰痛に対する治療(指導)としまして、各国の腰痛診療ガイドラインにおいて「安静」ではなく、「普段の活動を維持することを指導」するよう明記されるようになったものの、職場などで、重い荷物を持ったことなどが、明らかな切っ掛けで起こった「ぎっくり腰」に対しましては、産業衛生的には「災害性腰痛」に分類されることが多いため、医師も安静を指示したくなるものです。
そこで某大学では、「安静を指導された人」と「痛みの範囲内での活動を指導された人」の翌年の「ぎっくり腰」の再発率を検討してみました(前述のJOB Studyでのサブ解析)。ここでは「ぎっくり腰」を「明らかな切っ掛けがあった急性の非特異的腰痛」と定義しました。
その上で、過去1年間に「ぎっくり腰」を起こした人のうち、医療機関を受診した53.2%をたいしょうに、医療機関に「腰痛が治るまでできるだけ安静に保つように指導された」とかいとうした68名と、「痛みの範囲内で活動してよいと助言された」とかいとうした32名を抽出、それぞれの翌年の「ぎっくり腰」の再発状況を検討しました。
その結果、安静を指導された群に方が、活動してよいと指導された群の3倍以上のリスク(性・年齢及びぎっくり腰経験の有無、作業形態、ベースラインでの腰痛の程度(支障度)で調整した調整オッズ比:3.6倍)で「ぎっくり腰」を再発するリスクが高く、慢性化する傾向があることが確認されました。