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肥大と増殖
- 2020/12/27
<進行性病変>
1.肥大と増殖
(1)肥大
組織または器官が、個々の実質細胞の容積ず増すごとによって全体の大きさや重量を増すことを肥大と言い、個々の細胞の数が増えることによって大きさや重量の増大を果たすことを増殖と言っています。
肥大の最も分かりやすい例は、筋肉労働やスポーツによる骨格筋の発達です。骨格筋は成熟後は細胞の分裂を行わないので、もっぱら容積の増大で対応します。仕事肥大と言われるものです。心筋も同様で、高血圧症や、スポーツなどにより重量比で2~3倍に達することも稀ではありません。左心室の肥大が主でありますが、弁膜性疾患では病変の場所に応じて、特定の心房や心室壁にひだいがおこります。
しかし心臓は、ある程度以上の対応肥大(500g以上)は不可能で、肥大した筋線維を養う毛細血管の不足から小壊死と線維化が進み、心不全へ向かいます。代償肥大では、腎臓のような対になっている臓器で、片方がやられた場合、残った腎臓に肥大が起こることが知られています。糸球体が肥大し、尿細管上皮の増殖が見られ、重量は正常腎臓の1.5~2倍に達します。
偽肥大(仮性肥大)は、見かけ上は器官の容積は増していますが、実質細胞には変性萎縮があり、その実質容積の減った部分がそれ以上に結合組織や脂肪で置きかえされている場合です。