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肥大と増殖(増殖)
- 2020/12/28
<肥大と増殖>
2.増殖
増殖は、外からあるいは内から、増殖刺激によって起こる反応で、刺激がなくなれば元に復する可逆性の場合が多いです。その点、進行性に自己増殖する腫瘍とは自ら区別されます。
例を挙げますと、高山生活者など酸素分圧の低い環境では、酸素要求に応じて骨髄で赤芽球が刺激され、多血球症現れます。また、急性感染症で骨髄に顆粒球の増加が起こります。
内分泌系では、相互干渉的に働いてバランスの取れているものが破綻しますと、どちらかの器官に増殖が起こります。去勢後の下垂体ゴナドトロピン細胞の増殖とか、ヨード欠乏による甲状腺過形成などがあります。その他、糖尿病の母親から生まれた子供には、母親のインスリンを補うための膵島の過形成が見られます。しかし、高年男子に多発します前立腺肥大、女性の乳腺症や子宮内膜増殖症など、必ずしも因果関係のはっきりしない増殖もあります。
注1:前立腺肥大
70歳以上の男子に好発する病態で、前立腺の内側外分泌腺が増殖し、尿道の入口および前立腺内尿道部分を圧迫するため、尿の出方が悪くなります。性ホルモンの不均衡によるとされています。
注2:乳腺症
中年期女性に見られる乳腺の腺房の異常増殖です。増殖した腺管は、嚢胞状に拡張したり、周囲の線維増生に圧迫されたり、上皮がアポクリン化生を起こしたりします。原因は、女性ホルモンの不均衡によると考えられています。
注3:子宮内膜増殖症
子宮内膜腺が増殖し、嚢胞状に拡張したり、上皮の過形成が見られます。間質に出血を伴いやすいです。ホルモンのアンバランスによると考えられます。