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下肢の関節(股関節)
- 2021/01/07
<運動器系・全身の骨格>
4.下肢の骨格
(3)下肢の関節
①股関節
股関節は、ボール状の大腿骨頭が寛骨臼にはまり込んで構成されています。肩関節と同じ球関節でありますが、関節窩が臼のように深いので臼状関節と言われます。臼状関節は浅い球関節より脱臼しにくく安定しますが、運動の自由度は制限されます。寛骨臼の輪郭には、線維軟骨からなる関節唇が取り囲んで関節窩をより深くします。
関節包は大きく、その遠位端は大腿骨の転子間線に付着しており、大腿骨頭は関節腔内に含まれます。このことから、大腿骨頭は表面を覆われることになり、骨膜を欠きます。
股関節の主な靭帯は次の4つです。
イ.大腿骨頭靭帯
この靭帯は、大腿骨頭と寛骨臼との間に張ります股関節の関節内靭帯で、大腿骨頭の栄養血管がその中を通ります。股関節は深い関節なので、関節包の下方からやってくる血管だけでは骨頭を養いきれません。それを補うように、大腿骨頭靭帯は、寛骨臼の下縁を走る閉鎖動脈の枝を関節内に導いて、骨頭への血行路を作ります。
ロ.腸骨大腿靭帯
関節包の表面で腸骨と大腿骨との間に張り、股関節の上方および前方を補強するY字型の靭帯です(Y字靭帯)。身体の中で最も強靭な靭帯と言われます。
ハ.恥骨大腿靭帯
関節包の表面で坐骨と大腿骨との間に張り、股関節の下方を補強します。
二.坐骨大腿靭帯
関節包の表面で坐骨と大腿骨との間に張り、股関節の後方を補強します。
注:骨膜は骨折が治癒する際の骨の修復要素でもあります。従って、骨膜を欠く大腿骨頭部を骨折しますと修復要素が少ないので治癒が遅くなります。また、成人では、大腿骨頭の血管は退化・閉塞し、骨頭の血行が乏しくなるため、大腿骨頭部の骨折で骨頭壊死を起こしやすいです。