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脳頭蓋(頭蓋冠)

2021/01/20

<運動器系・全身の骨格>

5.頭蓋骨

(1)頭蓋骨の成り立ち

①脳頭蓋

イ.頭蓋冠

左右の頭頂骨を中心に、前に前頭骨、後に後頭骨、側方に側頭骨の一部(鱗部)がそれぞれ統合してドーム状の頭蓋冠を作ります。これらの骨の輪郭は、ノコギリの歯のようにギザギザしています。隣り合った骨同士、このギザギザを結合縁として線維性結合した縫合により頭蓋冠が維持されます。代表的な縫合の種類には、冠状縫合、矢状縫合、ラムダ縫合、鱗状縫合があります。

ⅰ.冠状縫合

前頭骨と左右の頭頂骨との間にある縫合で、頭蓋冠の前方部にあります。縫合線はヘアハンドを付けたような方向に走ります。

ⅱ.矢状縫合

頭頂部で、左右の頭頂骨の間を矢状方向に走る縫合です。

ⅲ.ラムダ縫合

頭頂骨と後頭骨との間をは走る縫合で、後頭部にあります。縫合線の形状がギリシャ文字の(λ)に似ているのでこの名がつきました。また、人の字のようにも見えますので、人字縫合とも呼ばれます。

ⅳ.鱗状縫合

側頭部におきまして頭頂骨の外側縁と側頭骨の上部(鱗部)との間にできます半円状で魚のうろこのような縫合です。

頭蓋冠を作る骨は、いずれも典型的な扁平骨に属し、胎生時に膜内骨化によって発生します。膜内骨化では、各骨の中央から骨化が始まり周辺に向かって広がります。これらの骨は出生時にはまだ骨化が完全ではなく、周縁部は骨化せずに線維性結合組織のまま残ります。特に3つ以上の骨が会合する部分では、広い結合組織の膜性部が残り、これを泉門と呼びます。泉門のうち、大泉門・小泉門・前側頭泉門・後側頭泉門がよく知られています。前頭骨と頭頂骨との間にできます大泉門と、頭頂骨と後頭骨との間にできます小泉門は皮膚の上から触知できます。

注:大泉門の触察は、新生児の発育状態や頭蓋内圧の変化を知る指標となります。一般に、小泉門は生後約3ヵ月、大泉門はおよそ2歳で閉じると言われています。また、出生時に胎児の頭が狭い産道を通る時には、泉門の部分で頭蓋冠の扁平な骨が移動し、屋根瓦のように重なり合って、頭全体を産道の形に合わせます。

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