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循環障害と滲出③
- 2021/01/23
<炎症>
1.炎症の一般
(1)循環障害と滲出
炎症巣では、血漿タンパクや白血球が滲出するのですが、これが身体にとってどんな意味があるのかを考えてみます。先ず白血球が出てくることは、底に病原細菌などがおればこれを貧食しますから(多角白血球)、防衛上極めて理に適ったことです。単球は、マクロファージとなつて、組織の壊れたものや異物などを食べて清掃します。次に血清タンパクには、免疫グロブリンや補体が含まれており,病原体に対しては中和毒解の作用があります。また、フィブリノゲンには、凝固しフィブリンの網を作って病原体を封じ込め、白血球の攻撃を容易にする働きもあります。このような現象を見ていますと、白血球はあたかも意志を持つ細胞の如く振舞い、、障害部位に集合し、障害因子を取り除き炎症の火消し役を務めています。白血球が集まるのは、細菌(毒素)、滲出した血漿成分(補体、IgG、IgM)の分解産物や抗原抗体複合物に白血球を引き寄せる遊走因子の作用があるからです。白血球がことに当たって貧食するのは、細胞が原初的に持っている貧食作用(アメーバの栄養摂取のための貧食現象)と同価値のもので、このようにして生体は侵襲に対し一定の型式で反応し、身体を外敵に対し守っているのです。
注1:免疫グロブリン
液性免疫反応の主役を占める血清抗体で、IgG、IgĄ、IgM、IgD、IgEなどがあります。
注2:補体
IgGやIgMが抗原と結合しますと、さらに補体Cが活性化されて結合し、標的になった病原体や細胞を破壊します。C₁~C₉までの9成分がしられています。
注3:遊走因子
血液中の白血球を血管外へ引き寄せる作用のある因子のことです。炎症巣へ白血球を集める重要な働きを持つと考えられます。