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側頭骨
- 2021/02/05
<運動器系・全身の骨格>
5.頭蓋骨
(2)頭蓋骨を作る骨
④側頭骨
側頭骨は、頭蓋の外側壁を成します左右1対の複雑な形をした骨です。発生学的には3つの部分、即ち鱗部・鼓室部・岩様部からなります。これら3部が癒合して単一の骨となりますのは生後1年ほど経ってからです。
鱗部は、扁平で丸い輪郭を持ったうろこのような部分で、外耳孔の上前方部に広がります。上部は鱗状縫合により頭頂骨と接して頭蓋冠の一部を成し、前方部からは、頬骨と結合するための頬骨突起が伸びて、頬骨弓の後半部を成します。頬骨突起の基部下面には、下顎窩があります。
鼓室部は、雨どいのような半管状の小さな骨で、外耳道及び鼓室の底を成します。
岩様部は膵体部と乳突部からなります。錐体部は後頭骨と蝶形骨大翼との間を内側前方に伸び、上面は内頭蓋底の錐体となって隆起して中頭蓋窩と後頭蓋窩を仕切ります。表面には内耳孔が開き、内部に内耳(蝸牛・前庭・半規管)を収めるほか、頸動脈管が貫通します。一方、乳突部は錐体部の外側下方に大きく膨張して、鱗部の後方に達し、側頭骨外面で乳様突起を作ります。乳様突起は耳の後方に触れ、体表上の目印になるほか、内部には鼓室から続く乳突蜂巣という多数の小砲が広がります。
さらに、岩様部の下面からは、下前方に茎状突起が伸びます。その基部には茎乳突孔が開きます。
外耳孔を入り、外耳道を通りますと鼓室に突き当たります。鼓室は中耳の主体を成し、3個の耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)が並びます。鼓室の前方は耳管に、後方は乳突蜂巣に続きます。鼓室の壁の奥には、内耳が存在します。
注:乳突蜂巣は中耳の一部で、中耳炎の炎症が波及しますと慢性化し、治癒を難しくさせます。