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腫瘍とは
- 2021/02/15
<腫瘍>
1.腫瘍とは
腫瘍とは、細胞の自律的な増殖であると定義づけられます。この意味を理解するには、自律性増殖とは何かということらポイントがあります。
生体の中では、細胞は老化に伴って消失し、それを補うためための再生増殖が起こっています。生活回転の速い骨髄、造精細胞、消化管上皮などでは活発に行われ、数の上でも構造の上でも、常に一定した整合性をもって進行しています。また、組織の破壊欠損の後の炎症と増殖におきましても、欠損の埋め合わせが終了すれば増殖は止みます。実験的に若い動物の肝臓を2/.3ぐらい摘除しますと、残っている肝組織から盛んに再生増殖が起こり、ほぼ元の大きさに達するまでの増殖は続くます。このように、生体内の細胞や組織は、必要に応じて再生増殖を繰り返すことができます。同時に、局所の条件と、生体全体が持っている恒常性維持機構の両方が働いて、無制限に増えるということはありません。
つまり、生理状態では細胞は細胞の宿主であります生体の方から絶えずコントロールを受けながら、増殖と再生を行い、組織や器官を構成する細胞社会の一員として、秩序と調和の中に働いているいるわけです。これが他律的な細胞増殖としますと、自律的な増殖は自ずから明らかになります。ここで、がんを例にとってみましょう。
がんは、自らが持つています法則性に従って増殖することのできる細胞群です。がんは自分で自己増殖を制御する手段を持たないばかりか、生体側からの干渉も一切排除することのできる強力な増殖力を持っています。その結果、限りなく増え、宿主の生命維持機構を脅かし、最終的に宿主の死をもって、自らの生活史を終えるのです。