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腫瘍の組織学③
- 2021/02/24
<腫瘍>
1.腫瘍の一般
(4)腫瘍の組織学
腫瘍細胞の分化度が悪くなり、未熟型になって増殖のテンポが上がってきますと、腫瘍実質と間質の関係が変わり、腫瘍細胞増殖と浸潤が圧倒的になり、間質の形成が貧しくなります。従って、ある限界を越えますと栄養補給が不十分なり腫瘍は壊死に陥ることになります。
しかし、未熟型腫瘍でもかなり母地組織の分化形質を再現しうるもので、それをよりどころにして腫瘍の性質を決めることが可能です。例えば、扁平上皮がんは、配列の重層性とケラトヒアリン合成を示し、肝がんには、索状の細胞配列と胆汁色素の生成が見られます。また、高度の未分化型筋肉腫などでも、どこかに横紋筋繊維の形成を見たりするものです。
いずれにしましても、原則として腫瘍組織は、母地になった組織に似た細胞分化(粘液分泌、角化など)と組織分化(腺類似の配列、扁平上皮類似の重曹状配列など)のみられることが多く、この両者はほぼ並行します。分化度が母組織に近似しているものほど、高分化型(成熟型)といい、隔たっているほど、低分化型(未熟型、退行型)と呼ぶ習慣になっています。