- トップページ
- >
- 前がん性病変
前がん性病変
- 2021/02/27
<腫瘍>
1.腫瘍の一般
(6)腫瘍の発生の諸段階
①前がん性病変
ここで言います前がん性病変とは、正常の組織に比し、がん発生のリスクの高い病変を総称したものです。
イ.胃における異型増殖、子宮頸部における異形成などは、がん化との関係が強く疑われています。あるいはすでにがん化した細胞の初期像と考える人もいます。
ロ.化生とがん化との関係がますます疑われるようになってきました。例えば、胃がんにおける腸上皮化生は胃がんのおよそ80%に見られ、前がん病変として理解されます。特に腸上皮化生の未熟型は、異型上皮を介して高分化型の腺がんの発生母地となる可能性があるとされています。
ハ.従来、前がん病変と考えられていたものの中にがん化とは直接関係のない、側がん変化であったものがあります。例えば、胃がんに先行する胃潰瘍、乳がんに先行する乳腺症、肝がんに先行する肝硬変(ただし、B型やC型肝炎ウイルスによる肝硬変は除きます)などであります。今まで胃潰瘍から胃がんになりやすい(潰瘍がん)と言われていました組織像は、胃がん組織の中央が壊れて潰瘍化し、結果的に潰瘍がんの様相を呈したもので、原因と結果は逆であるとされるようになってきました。