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腫瘍の生体に及ぼす影響①
- 2021/03/04
<腫瘍>
1.腫瘍の一般
(7)腫瘍の生体に及ぼす影響
②全身への影響
イ.悪液質
その本体はいまだに不明でありますが、悪性腫瘍による栄養奪取、腫瘍から分泌される毒性物質(腫瘍壊死化因子)などが考えられています。
ロ.発熱
腫瘍の崩壊物質による発熱中枢の刺激や感染による発熱が考えられています。
ハ.免疫異常
悪性腫瘍は、一般に全身の免疫を抑制します。原因はよくわかりません。そのため感染が起こりやすくなります。
二.多数のがんがその発生した母地組織とは関係なく、色々のホルモンを分泌します。例えば肺がんがACТHを分泌してクッシング様症状を起こしたり、胃がんが胎盤ゴナドトロピン(HCG)を産生したり、軟部腫瘍がインスリン様物質を分泌したりします。また、母地組織と同様の分泌物を産生するものでは、副甲状腺腫のパラトルモン、腎がんのエリスロボイエチン、下垂体腺腫による下垂体ホルモン産生など、機能性腫瘍が知られています。
いずれも、腫瘍分泌ホルモンによる異常のほか、時に全身の内分泌平衡を乱すことになります。
注1:パラトルモン
副甲状腺から分泌されるホルモンで、ビダミンDと並びカルシウム代謝を支配します。骨のカルシウムを遊出動員し、腸内からのカルシウムの吸収を促進し、血中のカルシウム量を上げます。
注2:エリスロボイエチン
腎臓から分泌される赤血球生成を刺激する物質(ホルモン)で、慢性の腎疾患などで貧血が起こりますのはエリスロボイエチン分泌低下にも一因があるとされています。
注3:機能性腫瘍
内分泌臓器に発生します腫瘍のうち、ホルモンを分泌する能力がある腫瘍を言います。