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発がん因子(化学的因子)
- 2021/03/07
<腫瘍>
1.腫瘍の一般
(8)腫瘍の発生原因
①がんの外因
イ.発がん因子
b.化学的因子
山極氏・市川氏らが1915年に、イギリスの煙突掃除夫に陰嚢がんが多いのにヒントを得て、兎の耳にコールタールを毎日1年以上塗って初めて皮膚がんを作りました。これが化学物質によります発がん実験の最初です。その後コールタール中に見られます3、4ベンツピレンのがん原性が同定されて以来、極めて多数の化学発癌物質が見出され、それらは1,000以上にのぼっています。その中には、単独では発がん作用を持たず、体内で代謝されて初めて発がん作用を有する物質に変換されるものも明らかにされています。
このようにしてできたがん原物質は、多くは親和性の強い器官・組織に集まり、細胞核に入り、DNAと統合し、細胞の遺伝情報を変えることが明らかにされています。
近年、細菌などに突然変異を起こす能力と、がん原物質の発がん作用との間に高い相関があることが分かり、細菌の変異誘導効果(変異原性としての能力)を指標にして、比較的簡単に環境物質中のがん原性の有無を調べられるようになってきました。