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がんウイルス①
- 2021/03/09
<腫瘍>
1.腫瘍の一般
(8)腫瘍の発生原因
①がんの外因
ロ.がんウイルス
ウイルスは化学物質や放射線と並んで、重要な発がん因子の1つです。
ウイルスが原因で起こると考えられています人の悪性腫瘍にパーキットリンパ腫があります。これは悪性リンパ腫で、最初、西アフリカから中部アフリカ、中東部アフリカ(ケニア、ウガンダ)などの4~10歳の子供の上・下頸部及び腹部に好発しました。原因ウイルスは、DNA型ヘルペスウイルスに属するEBウイルスで、リンパ腫の核内には多数認められます。このウイルスに対する抗体は、世界中の健康な人に広く存在し、日本人でも生後3歳に至るまで80%が感染し、このウイルスに対する抗体を持っています。
他方、アメリカなどでは、このウイルスに青年期に感染した場合、伝染性単核球症に罹患することがあります。また、東シナ海沿岸の中国人に多く見られる鼻咽頭がんとも密接な関係があると言われています。
これらの腫瘍発生の宿主側の因子として、アフリカの子供のマラリアへの感染、中国人の遺伝体質と生活環境などが関係すると考えられています。
最近、レトロウイルス(RNAウイルス)群の中のC型オンコウイルスの1つが、成人Т細胞白血病(ATlあるいはHTl)の原因になっていることが証明されました。HTlウイルス(HTlV)と略称されています。この疾患は、九州、四国などの太平洋岸に多く見られます。また、エイズ(AlDS)の原因もHTlVと同様にHIVといわれるレトロウイルスの感染によるとされます。
この続きは、次回掲載します。