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自己免疫異常
- 2021/04/14
<免疫異常・アレルギー>
4.自己免疫異常
抗体産生や免疫反応は、異種の物質に対して起こる防御反応でありますが、時に反応が自己に向かってしまい、自己の組織や細胞を破壊することもあり、これを自己免疫疾患と総称しています。免疫組織は、本来自己に対しては免疫学的に寛容であり、それゆえ自己の組織は攻撃しないことを原則としています(免疫寛容)。しかし、自己の細胞にウイルスが感染して細胞が壊れますと、タンパクや核酸などが変化して非自己化することが起こりうります。これに対しまして抗体が形成されますと、この抗体は正常の細胞の共通抗原に対して免疫反応を起こし、正常細胞を破壊することになります。これは自己免疫疾患の仕組みを少し古い考え方で説明したものです。
新しい考え方に従いますと、健康な人におきましても自己免疫反応は常時発生しておりますが、過剰な反応にならないような免疫寛容の機序が働いているために、自己の細胞や組織は壊されることなく守られているということになります。この免疫寛容の仕組みが障害されますと強い免疫反応が惹起され、自己免疫疾患が成立すると考えられます。
注:免疫寛容
特定の抗原に対して免疫反応が発生しない状態を免疫寛容と言います。一般に生体は自己の抗原に対しましは寛容の状態でありますが、この自己寛容が成立するためには胸腺が重要な働きをしています。自己抗原に反応するT細胞は、胸腺における成熟過程でほとんど除去されて自己寛容が成立します。