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ウイルス感染
- 2021/04/28
<先天性異常>
1.先天性異常総論
(2)奇形
①奇形の原因
b.胎児への環境因子による障害
ウイルスなどの感染、放射線、酸素欠乏、薬剤や毒物などが主なものです。
イ.ウイルス感染
全ての妊婦の約5%が妊娠中にウイルス感染を受け、色々のウイルスが先天奇形の発生に関与していることが考えられます。奇形との関連性のはっきりしているものに、風疹とサイトメガロウイルスがあります。ウイルス以外では、トキソプラズマ症と梅毒が知られています。
風疹に妊娠初期に罹患しますと、胎児の奇形発生頻度が極めて高いです。妊娠1ヵ月で54.8%、2ヵ月で31.4%、3ヵ月目に感染した場合は7.1%で、5ヵ月目では0.6%です。目や内耳や心臓に奇形が見られ、精神発育の遅れが見られます。
注1:風疹
風疹ウイルス(RNAウイルス)の直接飛沫感染による発疹性伝染病の1つ、一度罹患すれば終生免疫が得られます。子供の間に流行しますが、地域により成人でも5~30%ぐらいの未罹患者がおり、もし妊婦が妊娠3カ月以内に感染しますと、流産したり、出生児に諸種の奇形が出てきます。
注2‥サイトメガロウイルス
巨細胞封入体症の病原ウイルスで、肺や腎などの細胞の核及び細胞質内に大きな塩基性封入体を持った巨核細胞が出現します。
注3:トキソプラズマ症
トキソプラズマ・ゴンディイという寄生原虫によって起きる疾患です。猫の糞便や豚、羊の生肉が感染源になります。胎児への感染は、原虫が初感染を受けた妊婦の胎盤を通して胎児へ移行することで行われ、脳膜病変によります脳奇形や精神障害を起こすことがあります。既に抗体を持つ妊婦は抗体によって原虫が殺されるので障害は起こりません。