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薬物や毒物
- 2021/05/01
<先天性異常>
1.先天性異常総論
(2)奇形
①奇形の原因
b.胎児への環境因子による障害
二.薬物や毒物
胎児組織は、成人に比べ化学物質に対する感受性が高いですから、母親の摂取した薬用量でも胎児へ移行して、障害を与える可能性があります。確実に催奇形性の証明された薬剤は少ないですが、常に胎児に対する影響は考慮していなければなりません。
サリドマイドは、奇形を起こす有名な薬剤として知られています。1960年頃から旧西ドイツをはじめとしますヨーロッパ諸国や我が国でアザラシ肢症が多発し、大きな問題となりました。これは、罹患児の母親が妊娠初期に、つわりの鎮静のためサリドマイドを服用していたことによることが判明し、サリドマイドとアザラシ肢症の因果関係が明らかとなりました。主な奇形は、長管骨の欠損、変形、心奇形などでありました。
注1:サリドマイド
非バルブツール系の睡眠剤、妊娠初期に使用しますと四肢の奇形の発生を起こしやすいです。
注2:アザラシ肢症
先天奇形の1つで、四肢の中央の大きさが減少し、手足が躯幹に近くなります。または、直接つきます。四肢全部、上肢のみ、一肢のみなど、色々の組み合わせが見られます。上腕骨・大腿骨の発育不全または欠損が原因です。妊娠30~39日までの間にサリドマイドを服用しますと、この型の奇形が出現します。知能異常はありません。リハビリなどで社会復帰が可能です。