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屈筋支帯と手根管
- 2021/06/16
<運動器系・上肢>
3.上肢の局所解剖
(5)屈筋支帯と手根管
8個の手根骨は、掌側に窪んだアーチを作るように4個ずつ2列の手根裂を形成します。このアーチによって手根列の中央にできた窪みを手根溝と言います。手根列の橈側端にあります舟状骨・大菱形骨と尺側端にあります豆状骨・有鉤骨は、手根溝を挟んで掌側に突き出して、それぞれ橈側手根隆起と尺側手根隆起を作ります。この橈側・尺側手根隆起を結んで橋渡しをする帯状の靭帯が屈筋支帯です。屈筋支帯によって手根溝は蓋をされ、狭い筒状手根管になります。手根管は前腕から手掌への入口として、中に長母指屈筋・浅指屈筋・深指屈筋と正中神経を通します。手根管の中で腱は滑液鞘(腱鞘)に包まれて走りますので、運動時に手根管の中で生じる摩擦が軽減されます。屈筋支帯の浅層には尺骨神経と尺骨動脈が通る尺骨神経管(ギョン管)が位置します。
注:手根管症候群
手や指を過度に使った場合に、手根管内で腱鞘が炎症を起こして腫脹することがあります。その際に手根管を通る正中神経が圧迫され、生ずる母指球筋の麻痺や感覚異常です。