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破壊
- 2021/07/01
<血液>
1.血液の組成と働き
(6)破壊
膜が古くなり変形能を失った赤血球は、脾臓の細胞内皮系で捕捉され、溶血あるいは食作用によって破壊されます。赤血球の破壊によって放出されたヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、ヘムは鉄を離してビリルビンという黄色い色素となります。ビリルビンは不溶性で、タンパク質と結合して肝臓に運ばれ、そこで水溶性のビリルビンとなり、肝臓から胆汁成分として十二指腸へ排泄されます。腸内に出ましたビリルビンは細菌の作用により還元されてウロビリノゲンとなり、大部分(約80%)は糞便中に排泄されます。残りのウロビリノゲンは腸から吸収されて循環血中に入り、一部は腎臓から尿中に排泄され、一部は肝臓を経て再び腸管に排泄されます。ヘモグロビンから遊離された鉄は肝臓や脾臓に蓄えられて、ここから骨髄に運ばれ、必要に応じて赤血球の新生に再利用されます。ヘモグロビンから遊離されたグロビンも再利用されます。
注:血中ビリルビンと黄疸
血液中のビリルビン濃度は正常成人で0.2~1.2mg/dlです。溶血の亢進によってヘモグロビン放出が増えたり、肝細胞の傷害、胆道の通過障害などによって血中ビリルビンの代謝が遅れたりしますと、血中ビリルビン濃度が増加します。血中ビリルビン濃度がおよそ2mg/dlを超えますと、皮膚や眼球結膜などが黄色に染まり、黄疸が認められるようになります。