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筋裂孔と血管裂孔
- 2021/08/12
<運動器系・下肢>
3.下肢の局所解剖
(1)大腿前面
①筋裂孔と血管裂孔
寛骨前面は弓状になっており、その上に上前腸骨棘と恥骨結節の間を結ぶ鼠径靭帯が張っています。腰部から大腿部に向かって走る腰神経叢の枝や下肢を養う脈管は、鼠径靭帯の下と寛骨との間にできます筋裂孔と血管裂孔という隙間を通ります。血管裂孔と筋裂孔の間は腸恥筋膜弓で仕切られています。そしてこれらの裂孔は鼠径靭帯の下から大腿三角に連続します。
筋裂孔は、本来鼠径靭帯の下を通る腸腰筋の通路です。腰神経叢から起こる大腿神経と外側大腿皮神経は腸腰筋に導かれるように筋と共にこの裂孔を通って下行し、大腿に至ります。
血管裂孔は、筋裂孔よりも内側にあり、リンパ管、大腿静脈、大腿動脈が内側からこの順に並んで通ります。特にリンパ管が通る血管裂孔の最内側大腿輪と言います。このほか、陰部大腿神経の大腿枝も血管裂孔を通ります。
注:大腿輪は、鼠径管や臍などと同様に腹壁の抵抗の弱い部分に当たり、腹圧が高まった時に腸や腹膜が脱出してヘルニアが起こる部分として知られています(大腿へルニア)。中年の女性に多いです。女性の骨盤は広く、大腿輪も大きく、抵抗が弱くなりやすいためです。