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肺気量
- 2021/09/26
<呼吸>
3.肺機能
(1)肺気量
呼吸の際に出入りする空気の量、即ち肺気量は次のように定義され、肺の機能検査に用いられます。
①1回換気量
安静呼吸時に1回の吸息あるいは呼気で出入りします空気の量(成人約500ml)。
②予備吸気量
安静吸息の上に、さらに吸い込める最大の吸気量(成人約2~3リットル)。
③予備呼気量
安静呼息の後に、さらに吐き出せる呼気量(成人約1リットル)。
④残気量
最大に吐き出した後に、肺内に残っている気体容量(成人約1~1.5リットル)。
⑤機能的残気量
予備呼気量と残気量の和です。安静呼吸時には機能的残気量が肺胞内に残っており、このために肺胞内のガスの状態が吸息時と呼気時であまり変化をせず、肺胞気と血液との間のガス交換が一定に行われるようになっています。
➅肺活量
1回の呼吸で可能な最大の換気量が肺活量で、普通最大級気位から最大呼気位までゆっくり呼出させて測ります。1回換気量+予備吸気量+予備呼気量に相当します(成人男子で約3~5リットル)。
⑦全肺気量
肺活量と残気量の和です。
注1:%肺活量
肺活量は体格、年齢、性別、生活様式などにより異なります。体格、年齢、性別を加味した肺活量の予測値に対する実測値の割合を%肺活量と言います。%肺活量の正常値は80%以上です。
注2:努力肺活量と1秒率
努力肺活量は最大吸気位から最大の速度で吐き出した最大の呼気量で、強制呼気量とも呼ばれます。努力肺活量のうち、始めの1秒間で吐き出される量を1秒量と言い、努力肺活量に対する1秒量の割合を1秒率と言います。1秒率の正常値は70%以上です。言い換えれば、正常では肺活量の7割以上を最初の1秒間に呼出できます。
注3:換気障害
換気障害には気道が狭くなり、気道抵抗が高くなる閉塞性肺疾患(気管支喘息、慢性気管支炎など)や、気道抵抗が正常である肺胸郭系の正常な伸展が障害される拘束性肺疾患(肺線維症など)があります。閉塞性肺疾患では、%肺活量は正常でありますが、1秒率が低下します。拘束性肺疾患では、1秒率が正常でありますが、%肺活量は低下します。%肺活量と1秒率の両方が低下する場合は混合性障害と呼ばれます。