- トップページ
- >
- 筋性防御
筋性防御
- 2022/07/22
<局所の診察>
12.腹部
(5)筋性防御
虫垂炎、胆嚢炎、膵炎などの腹腔内の炎症が壁側腹膜に及びますと、肋間神経・腰神経を介して罹患部位に対応した腹壁筋肉が反射的に緊張します。これを触診しますと、腹壁が硬い抵抗として触れます。これは一種の防御反応で、筋性防御と言い、「デファンス」と表現されることが多いです。そして、しばしば圧痛が伴ないます。
筋性防御の有無を調べるには、腹壁の緊張を十分にとって触診します。手掌を腹壁に軽く当て、次に徐々に右手の示指あるいは示指と中指の指先を用いて、できるだけ弱い力で腹壁を圧するようにして触診します。患者が痛みを訴えている部位から離れた部位より触診を開始し、順次痛みの部位に向かって触診を進めます。左右の相対する部位を比較しながら触診すると良いです。高齢者では筋性防御が出現しにくいこともあり、注意が必要です。
筋性防御は限局性の場合と、広汎な場合があります。急性虫垂炎の初期など、病変が局所に留まっている場合には、病変部位に筋性防御を認めます。これに対し、広汎に筋性防御を見る場合は、汎発性腹膜炎の存在を示し重篤です。